ご案内

21世紀の太陽系探査において、我々人類は小惑星、彗星、火星そしてその衛星を詳細に観測し、直接試料を得るステージへと着実に進みつつあります。回収試料や隕石の物質科学的解析とリモートセンシングによる観測を組み合わせ、太陽系の起源・進化・ダイナミクスに対する学問的理解は、これからさらに一段と深まることは間違いないでしょう。

小惑星イトカワの表面より微粒子の直接回収を実現した探査機「はやぶさ」の成功は、我々の記憶に鮮やかなところです。その回収粒子を用いた詳細かつ総合的な物質科学的解析によって、小惑星の表面では太陽風による風化や微粒子衝突など物質の相互作用が極めて活発に起きていることが実証されたことは、新たな太陽系の描像を描くにあたり重要な成果でありました。おりしも2014年12月には、探査機「はやぶさ2」が有機物を含む岩石の回収を目的とし、Cタイプの小惑星1999JU3に向け地球を旅立ちました。いうまでもなく、このような地球外物質試料回収の試みはその技術的挑戦と同時に、物質を直接取り扱う研究者の胸中に、未知なる物質から得られる新たな科学的情報への強烈な興味を喚起することは間違いありません。

1987年以来、岡山大学地球物質科学研究センターPMLグループでは、地球惑星物質総合解析システムを構築・発展させ、広範な地球惑星物質の解析によってその物理化学的性質を明らかにすべく研究に取り組んできました。我々のアプローチは45.7億年にわたる宇宙・地球・生命に関わる全ての物質に原理的に適用可能であり、新たな学問分野の開拓の戸口を今まさに開こうとしています。例えば、地球惑星物質総合解析システムを活用したチェリャビンスク隕石の解析によって、太陽系誕生に伴い形成された小天体が、約1億5000万年前の小天体同士の衝突破砕、そしてその後の流体-岩石相互作用を経験し地球に飛来したことが明らかとなったことは、本アプローチの大いなる成果といえます。この結果から氷天体(彗星)による岩石天体の再凝集プロセスが示唆されるなど、太陽系の物理化学的な物質進化の新たなモデル構築をめざし研究はさらに発展していくでしょう。 本シンポジウム「MISASA V」においては、地球惑星物質総合解析に基づく最新の研究結果(チェリャビンスク隕石ほか)を核として、惑星探査、とりわけ、はやぶさ、はやぶさ2、OSIRIS-REx、MARS2020などに関わるトップクラスの研究者にご参集いただき、解析と探査の両面から最新の科学研究の成果ならびに将来の研究計画についての実質的な議論を行います。多様なデシプリンを持つ国内外の研究者による学術交流は、未来の太陽系科学を発展させるうえで非常に重要であり、その一歩を三朝の地から踏み出すことの意義は極めて大きいと考えます。

3月6日、シンポジウムにて皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

センター長・教授 中村 栄三

シンポジウム組織委員会

  • 中村 栄三
  • 小林 桂
  • 田中 亮吏
  • 国広 卓也
  • 辻森 樹

 

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